第一章(四)
でも今では僕の脳裏に最初に浮かぶのはその草原の風景だ。草の匂い、かすかな冷やかさを含んだ風、山の稜線、犬の鳴く声、そんなものがまず最初に浮かびあがってくる。とてもくっきりと。それらはあまりにくっきりとしているので、手をのばせばひとつひとつ指でなぞれそうな気がするくらいだ。しかしその風景の中には人の姿は見えない。誰もいない。直子もいないし、僕もいない。我々はいったいどこに消えてしまったんだろう、と僕は思う。どうしてこんなことが起りうるんだろう、と。あれほど大事そうに見えたものは、彼女やそのときの僕や僕の世界は、みんなどこに行ってしまったんだろう、と。そう、僕には直子の顔を今すぐ思いだすことさえできないのだ。僕が手にしているのは人影のない背泉だけなのだ。
但是如今我的脑子里最先浮现出的却是那个草原的风景。青草的味道、稍微含着些冰凉的风、山的山脊、犬吠的声音,这些东西却是最先浮现出来。显得格外清晰。这些过于地清晰,感觉好像只要一伸手就能用手一个一个地描摹出来。但是在这风景中没有人的身影。一个人都没有。没有直子,也没有我。我们到底在哪不见了。我思考着,为什么会发生这样的事呢?明明是看得这么重要的东西,她和那时的我和我的世界,大家到底都去哪了呢。对了,现在我连立刻想起直子的脸都无法做到。我得到的只是空无一人的背景罢了。
もちろん時間さえかければ僕は彼女の顔を思いだすことができる。小さな冷たい手や、さらりとした手ざわりのまっすぐなきれいな髪や、やわらかな丸い形の耳たぶやそのすぐ下にある小さなホクロや、冬になるとよく着ていた上品なキャメルのコートや、いつも相手の目をじっとのぞきこみながら質問する癖や、ときどき何かの加減で震え気味になる声(まるで強風の吹く丘の上でしゃべっているみたいだった)や、そんなイメージをひとつひとつ積みかさねていくと、ふっと自然に彼女の顔が浮かびあがってくる。まず横顔が浮かびあがってくる。これはたぶん僕と直子がいつも並んで歩いていたせいだろう。だから僕が最初に思いだすのはいつも彼女の横顔なのだ。それから彼女は僕の方を向き、にっこりと笑い、少し首をかしげ、話しかけ、僕の目をのぞきこむ。まるで澄んだ泉の底をちらりとよぎる小さな魚の影を探し求めるみたいに。
当然只有花些时间,我是能想起她的脸庞的。小巧冰凉的手掌、触感轻柔地笔直地美丽头发、柔软圆形的耳垂正下方的小黑痣、每到冬天就经常穿着的高级的骆驼牌的外套、总是一边死死地盯着对方的眼睛看着一边提问的习惯、时不时因为什么原因而变得稍微颤抖的声音(就好像在强风吹过的山丘上说话一样),这些印象一个一个堆积起来,她的脸颊就十分自然地浮现出来了。最先想起的是她的侧脸。这可能是因为我和直子总是并肩行走着的缘故。所以我首先能想起的总是她的侧脸。然后就是她向我的方向转过来,微微一笑,稍微歪着脑袋,盯着我的眼睛搭话着。仿佛在寻找着清澈见底的泉水底部一闪而过的游鱼的影子。









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